図1
ファイバレーザの増幅用ファイバの構造
ファイバレーザとは、光ファイバを増幅媒体とする固体レーザの一種です。光ファイバの中心にあるコアに、希土類元素Yb(イッテルビウム)がドープ(添加)されています。屈折率は、中心部が一番高くなっています。このYb添付中心コアの中を、1.1μmレーザ光と励起光が通ります。その外側の第一クラッドは、励起光が通ります。更にその外側に第二クラッドがあります。クラッドが二重になっているので、ダブルクラッドファイバと呼ばれています。
図2
ダブルクラッドファイバの光ビーム伝搬
図2は、ダブルクラッドファイバの構造と、光ビーム伝搬の光強度分布となります。励起光は、第二クラッドで全反射(*注)しながら、Yb添付中心コアと第一クラッドを伝搬します。レーザ光は、第一クラッドで全反射しながら、Yb添付中心コアを通ります。励起光がYb添付中心コアを通過する度に、Ybが励起されます。
*注 全反射:入射光が境界面を透過せず、境界面ですべて反射する現象
図3
高出力ファイバレーザの光回路の基本構成
図3は、高出力ファイバレーザの光回路の基本構成です。
光回路は、①励起部、②共振器部、③ビームデリバリ部と大きく3つに分かれています。
①励起部は、励起用半導体レーザ(LD)から出たレーザ光を、光ファイバで励起光コンバイナに伝搬します。励起光コンバイナは、複数のLDからの励起光を一本の光ファイバに結合します。
②共振器部は、図2で説明したダブルクラッドファイバ(増強用ファイバ)に、励起光コンバイナからの励起光を伝搬します。励起光はYbを励起し、FBG( Fiber Bragg Grating)で増幅されます。FBGには高反射率ミラーと低反射率ミラーがあり、低反射率ミラー側からレーザ光が発振します。
③ビームデリバリ部は、②共振器部からのレーザ光を加工ヘッド、もしくはビームカプラとを繋ぐ光ファイバです。
図4
ファイバレーザの高出力化
図4は、図3のデリバリファイバを出力光結合部(出力光コンバイナ)で複数本結合し、高出力化します。
例えば、1kWを4本結合すると4kW、1kWを6本結合すると6kWになります。