高出力半導体レーザモジュール

図1.一般的なファイバレーザ 図1.半導体レーザモジュールの光出力

世界最高出力を達成

高出力ファイバレーザを実現するためには、励起光源として高出力の半導体レーザモジュールが必要です。これを実現するには、幅の広い発光領域を持つ半導体レーザが有効となりますが、一方で幅広の出射光を決められた径のファイバコアへ集光する難度が上がるという課題がありました。当社では、小型光部品の高精度調心技術を開発し、複数の半導体レーザからの出射光を束ねて低損失で光ファイバに結合することで高出力半導体レーザモジュールを実現しました。さらに、偏波合成技術を適用することにより光出力を大きく向上させ、世界最高である光出力310Wを達成しています。
※2016年11月現在 当社調べ

出力安定性 - フジクラが選ばれる理由

フジクラの豊富な技術プラットフォームにより、高性能で高品質なファイバレーザを実現しました。
これにより多くのお客様にフジクラのファイバレーザを選んで頂いております。

図1.一般的なファイバレーザ 図2.一般的なファイバレーザ

レーザ出力の不安定性の問題

加工対象物にレーザを当てると、必ず反射が起こります。この反射光がファイバレーザに戻ると内部の発振状態が不安定になり、その結果、ファイバレーザの出力も不安定になります。レーザ出力が不安定になれば、当然、加工状態も不安定になり綺麗な加工ができなくなってしまいます。
図2は、一般的なファイバレーザにおける、加工対象物からの反射光がレーザ出力に及ぼす影響を測定したデータです。青矢印の箇所は特に反射レベルが大きく、それによりレーザ出力が変動して不安定になっている様子がわかります。

図2フジクラ製の高出力ファイバレーザ 図3.フジクラ製の高出力ファイバレーザ

フジクラは、反射光の影響を抑え、安定したレーザ出力を実現

図3はフジクラ製ファイバレーザにおける、反射光とレーザ出力を測定したデータです。赤矢印の箇所は反射レベルが非常に大きいにも関わらずレーザ出力は非常に安定しています。これは、フジクラ製のファイバレーザが、加工対象物からの反射があっても、それに影響されることなくレーザ出力が安定していることを示しています。フジクラのファイバレーザには、弊社が開発した独自構造のファイバが使用されています。このファイバを使用した光回路内では反射光の悪影響が抑制され、安定したレーザ出力特性を実現しています。
加工対象物からの反射にほとんど影響されない安定した加工は、ファイバレーザを選ぶ際、非常に重要な指標となります。これが、フジクラが選ばれる一つの大きな理由です。

図3.大コアマルチモードファイバによる非線形成分の抑制 図4.大コアマルチモードファイバによる非線形成分の抑制

長寿命化による長期の出力安定性

ファイバレーザに於いては、ファイバの寿命がレーザの寿命に直結します。
レーザに使用される光ファイバには、フォトダークニングと呼ばれ、レーザ出力が短期間で著しく低下する問題がありました。フジクラはこの問題を、ファイバレーザの重大な課題と考え、光ファイバの長寿命化に取り組んだ結果、強い光パワーに長時間晒されてもほとんど特性が変わることがないレーザ用光ファイバを独自開発いたしました。
弊社のレーザすべてにこのファイバが使用されており、弊社のレーザの卓越した長期安定性に貢献しています。

高信頼性 - フジクラが選ばれる理由

図5.パルスファイバレーザにおけるSRS活用の例(ラマンシフタ) 図5.パルスファイバレーザにおけるSRS活用の例(ラマンシフタ)

キーコンポーネントの一貫生産と独自の戻り光抑制機構技術

フジクラのファイバレーザは高い信頼性を有しています。励起光源である半導体レーザ、ファイバカプラ、励起ファイバ、光アイソレータなど信頼性を左右する主要なキーコンポーネントはすべて、フジクラグループ内で厳密な品質管理の下で製造しています。
高い信頼性は、品質管理だけでなく、半導体レーザを含む光部品の損傷を防ぐ技術にも理由があります。特に、高強度の戻り光パルスが主発振器または前段のパワーアンプに戻るとファイバや各種光部品を損傷するという問題がありました。これに対しては、光ファイバ中での非線形光学効果の一つである誘導ラマン散乱(SRS)を活用した「ラマンシフタ」と呼ばれる独自の戻り光抑制機構の技術が使われています。

独自構造の励起光コンバイナにより励起用半導体レーザを保護

独自構造の励起光コンバイナにより励起用半導体レーザを保護

ファイバレーザ内に反射光が戻ってきた場合、反射光(戻り光)はファイバ内を広範囲に伝搬し、励起光である励起用半導体レーザ(ポンプLD)まで到達してしまいます。これにより、半導体レーザが損傷するという致命的な故障が発生してしまいます。
加工物からの反射光による励起用半導体レーザ故障を防ぐため、当社では独自構造の励起光コンバイナを開発し、励起光コンバイナ内での反射光の拡散を抑えて励起用半導体レーザが接続される光ファイバに反射光が結合することを抑制しました。これにより励起用半導体レーザの保護に成功しています。弊社の豊富な技術プラットフォームがこの技術を実現しました。

 

反射光を抑制する独自技術で業界初の直上照射を実現

  フジクラは反射光を抑制する独自技術により、業界で初めて、直上照射を実現しました。レーザ加工をする場合、加工物に対して垂直にレーザを照射した方が最も加工しやすいのは言うまでもありません。しかしながら、従来のファイバレーザでは、加工物からの反射光による励起用半導体レーザ劣化の問題があるため、加工物に対して斜めに照射せざるを得ませんでした。フジクラのファイバレーザには反射光を抑制する独自技術が使われているため、これまでの斜め照射の常識を覆し、直上照射を実現することに成功しました。これにより、照射角度に制限のない使いやすいレーザ加工をご提供することが可能になりました。

直上切断の実演
直上溶接の実演
 

直上照射だからできる! 加工時間の短縮

従来の斜め照射
フジクラ・ファイバレーザの直情照射

高反射率の銅やアルミ溶接の場合、従来のレーザ(YAG・ファイバレーザ)は反射光の影響を少なくするために、斜め照射を推奨していました。斜め照射の場合、レーザの加工対象物への入射角度を同じにするために、XYステージ操作によるレーザ照射やロボットを使った加工ヘッドの追従操作が必要でした。
フジクラのファイバレーザは反射光を抑制する独自技術により、レーザ照射の条件を一定に保つ直上照射を実現しました。1回のレーザ照射で安定したビーム品質で加工が可能になるため、加工時間の大幅な短縮、加工精度の向上に貢献します。また、XYステージやロボットを使用した加工ヘッド自体を動かす構成に比べ、レーザ装置のコスト削減を実現します。

直上照射だからできる! 溶接面の綺麗な仕上がり

従来の斜め照射による溶接面
フジクラの直上照射による溶接面

従来の斜め照射では、加工対象物を綺麗に溶接するのは容易ではありませんでした。
フジクラのファイバレーザでは直上照射により、シームレスできれいな溶接面を実現します。高品質な溶接が求められる場合に、直上照射は非常に有効です。

耐環境性 - フジクラが選ばれる理由

ファイバレーザ。動・衝撃試験の様子 振動・衝撃試験の様子

通信分野で培ったノウハウと、製品設計時の厳しい基準

フジクラのファイバレーザは耐環境性の面からも選ばれる理由となっています。これまで弊社が出荷したファイバレーザすべてをベースにした年間故障率は、1%程度で推移しており、海外ファイバレーザと比較しても、”故障しないレーザ”といえます。ファイバレーザは製造現場で使われるため、厳しい環境で使われる場合も多くあります。それにも関わらず、年間故障率が極端に低いというのは、いかにフジクラのファイバレーザが耐環境性に優れているかを理解して頂けると思います。
こうした実績の背景には、通信分野で培ったノウハウと、製品設計時の厳しい基準があります。
また、耐環境性が優れていることを理解できるのは、故障率ばかりではありません。半導体レーザモジュールおよび光回路の最適設計と独自の熱交換機構により、優れた温度安定性も実現しています。例えば、パルス発振ファイバレーザでは、その動作温度範囲が0~45℃と非常に広範囲なレーザもご提供しております。

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